2012年01月28日

冬のライオン

映画『 冬のライオン 』

The Lion in Winter







監督 アンソニー・ハーヴェイ

出演 ピーター・オトゥール (King Henry )
  キャサリン・ヘップバーン (Queen Eleanor Aquitaine)
ジェーン・メロウ (Princess Alais)
ジョン・キャッスル (Prince Geoffrey)
ティモシー・ダルトン (King Philip of France)

1968年 アメリカ映画


1183年のクリスマス・イブの夜。イギリス国王ヘンリー2 世は、後継者を決めるために一族を召集した。

そこには、王の居城から離れて軟禁されていた王妃エリノアの姿もあった。

ということで、12世紀の末も近いはるか昔のフランスが舞台です。

当時の西欧の地図は複雑を極めていました。

イギリス国王は、婚姻や相続を通して、フランスに広大な領地を有していました。当時のフランス王家よりもずっと広い土地がイギリス王のものでした。

イギリス王ヘンリー2世の出身一族の名(アンジュー家)をとって、この英仏にまたがる国は別名『アンジュー帝国』とも呼ばれます。

映画『冬のライオン』は、そんなアンジュー王家の複雑な人間関係と中世ヨーロッパの錯綜する政治力学を描き出す作品。

もともとが英米では有名なお芝居を映画化したものだけあって、ところどころ、いかにも舞台作品を思わせるシーンが出てきます。

たとえば、主要な登場人物が、偶然の成り行きで、ある場所に次から次へと登場し、最後に勢ぞろいするシーンなど。

話の進行や演出は、あえてフィクショナリーな側面を強調している感じ。

その分、映画の背景はきっちり、リアリズムに徹した描写をしているようにも思えました。

たとえば、中世の城塞での生活や当時の人々の暮らしぶり、武具や装束、食事や宴会など。

ただ、この映画、日本人が楽しむには、すこしハードルが高い感じです。

まず、当時の歴史についてある程度の知識がないと、すんなり頭に入ってこない。

だいたい、なぜイギリス王ヘンリー2世が王妃のエレノアを愛しつつも恐れ、幽閉しているのか?

そもそもヘンリーとエレノアの関係は、単なる夫婦の関係である以上に、中世ヨーロッパの王と諸侯の関係であることが伏線にある。

エレノアは単に貴婦人であるというだけではなくて、南西フランスの広大な所領を相続した女公だったわけで、そんな彼女は、その優美な姿とは対照的に、かよわいレディなどでは決してなく、先祖代々の領地を守るためには、夫を裏切り、息子たちに謀反をけしかけ、夫のライバルで自分にとっても時には危険な存在となりうるフランス国王を操りそそのかそうとする権謀術策をめぐらす権力者なわけです。

ヘンリー曰く、「幽閉していないと危なっかしくてしょうがない。また、陰謀をたくらんでいるにちがいないから」(意訳)。

さて、個人としては愛憎交錯する夫婦でありながら、君主としては不断の緊張関係にあるヘンリーとエレノア、そして、のちに父を裏切り、互いに戦争を仕掛けあうことになるリチャード(後のイギリス王ライオンハート)とジョン(失地王)という息子たち、、、

この家族に美男のフランス王が加わって、縦に横に様々な模様をつむぎだすこの物語。

あらすじ、結末は、さておき、クリスマスの家族団らん?ではない、家族のメンバー全員で演じるつばぜり合いが終わって、再び幽閉先の城に船で運ばれてゆくエレノアとそれを見送るヘンリー。

対立する2人が、それぞれに満面の笑顔で別れを告げるそのシーンは、現代の庶民である我々にはほとんど理解を超えた場面というしかない。

この映画、現時点では、評価は難しいです。

もっと、いろいろ見たり知ったりしてからだと、おもしろくなるのでしょうかね?




  

Posted by らいおんまる at 16:39Comments(0)TrackBack(0)historical